
こんにちは、フジタどうぶつ病院です。
今日は大腿骨頭壊死の治療について症例報告させていただきます。
レッグペルテスとも言われている大腿骨頭壊死ですが、はっきりした原因は不明なのです。大腿骨頭(太ももの骨の骨盤と連結している部分)への血行が阻害さ れ、大腿骨の骨頭が壊死してしまう病気です。主な症状としては、跛行や股関節周囲の過敏症などが見られ、治療が遅れると、歩行異常などの後遺症が残ってしまい ます。
症例は、1才のトイ・プードルの女の子です。右の後ろ脚を挙げて歩くことが多くなったとのことで来院されました。触診で右後ろ脚を後ろに伸展するとかなり痛がったので、股関節に痛みがあると判断しレントゲンを撮りました。その結果が下の写真です。


わかりにくいのですが、左の写真 中央部に股関節(骨盤と大腿骨が接している部分の関節)に隙間 (黄色矢印) があります。普通はもっと狭いのですが、症例はかなり広くなっています。
この画像からレッグペルテスと判断しました。この関節は放っておくとどんどんひどくなり、患肢を使わなくなっていきます。現に右の写真で、右脚の大腿部の筋肉が細くなっています(黄色矢印)ので、あまりこの脚をあまり使っていないため筋肉が萎縮し始めています。治療が遅れると、治療後も脚を使わなくなってしまうことがあります。
治療方法は手術で大腿骨頭を切除して股関節を失くしてしまいます。
「関節を失くしてしまったら歩けないのでは?」と思われる方は多いと思いますが、ワンちゃんは人間と違って4足歩行ですから、ほとんど支障はありません。実際の手術後の写真が下の写真です。


右脚の大腿骨頭が無くなっているのがわかります。
また、下の写真が切除した大腿骨頭の写真です。普通はつるつるした関節面なのですが、ごつごつした感じになっているのが分かるかと思います。この表面が傷みの原因になっています。


術後、このワンちゃんはしばらくは手術の痛みで脚をあげていましたが、2週間後くらいにはほぼ普通に歩いていました。今では日常生活には何の支障もなく、散歩したり、走ったりしているそうです。
このワンちゃんの場合は少し特殊で、普通は2-3か月かけて通常の歩行になります。神経質なワンちゃんは半年から1年くらいかかるワンちゃんもいます。
もし、ワンちゃんが脚をかばって歩くのが続いていることがありましたら、このような病気があるかもしれません。出来るだけ早めに受診されることをお勧めいたします。
