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ドクターズインタビュー

院長藤田 広己

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ドクターズインタビュー

動物と飼い主のために
獣医の道へ

動物と飼い主のために獣医の道へ
獣医師を目指されたきっかけを教えてください。

もともと動物が好きで、獣医学科に進学しました。しかし最初は臨床ではなく、製薬会社で動物薬の研究職に就きました。9年間勤務する中で、動物実験を通して命に関わる仕事をする一方で、「本当にやりたかったのは動物を助ける側の仕事ではなかったか」という違和感が募っていったんです。
命ある動物を”使う”ことと、”救う”ことのギャップに葛藤を感じ、臨床の道に進むことを決意しました。そこから個人病院での勤務を経て、企業病院の院長も務め、経験を積んでいきました。そして「自分の信念で診療ができる場所を持ちたい」と思い、フジタどうぶつ病院を開業しました。

飼い主と共に歩む診療スタイル

飼い主と共に歩む診療スタイル
診療で大切にしている信念について教えてください。

診療において、最も大切にしているのは「飼い主さんと信頼関係を築くこと」です。動物は自分で症状を話せないからこそ、飼い主さんとのコミュニケーションが診療の鍵になります。
私たちは、検査や治療の選択肢、費用面もすべて事前に丁寧に説明します。「この治療にはこれくらい費用がかかりますが、どうされますか?」といったように、決して一方的に治療を進めることはしません。高額な治療が必要な場合でも、無理に押しつけるようなことはせず、飼い主さんが納得したうえで決めていただくようにしています。
「この子を助けたい」という飼い主さんの気持ちと、「できる限りのことをしてあげたい」という私たちの想いが交わる場所が、動物病院だと考えています。

皮膚トラブルと“与える食べ物”の密接な関係

皮膚トラブルと“与える食べ物”の密接な関係
最近特に多いトラブルや病気にはどんなものがありますか?

当院では皮膚病で来院されるワンちゃんが非常に多く、中には「いろんな病院に行っても治らなかった」とおっしゃる飼い主さんもいます。そうした際に私たちがまず確認するのが「日常的に与えている食べ物」です。
実際、人間の食べ物を日常的に与えていたケースでは、いくら薬や処置を行っても皮膚の状態がなかなか改善しないことがあります。ところが、人間の食べ物をやめ、バランスの取れたドッグフードに切り替えただけで、症状が改善するという事例も多く見られます。
人間の食べ物は、味付けが濃く、犬にとっては脂肪や塩分が過剰になることが少なくありません。そのため、皮膚の炎症が悪化する要因になり、治癒を妨げている可能性があるのです。
また、こうした習慣が続くことで、肥満や糖尿病、高血圧症、腎臓病といった生活習慣病にも繋がるリスクがあります。特に犬の場合、一度味の濃いものに慣れてしまうとドッグフードを嫌がるようになり、栄養バランスの崩れが慢性化してしまうケースもあります。
ワンちゃんの健康を守るためには、嗜好性よりも「栄養設計されたフードを継続すること」が非常に重要です。おやつや手作り食を否定するわけではありませんが、主食として与えるものは慎重に選んでいただきたいと考えています。

「元気な今こそ」受けてほしい健康診断

「元気な今こそ」受けてほしい健康診断
健康診断や予防の重要性について教えてください。

実は「何も症状が出ていない時こそ、健康診断を受けてほしい」と思っています。当院でも、元気そうに見えるワンちゃんが健康診断で重大な病気を発見されるケースがよくあります。
たとえば以前、ドッグドックで「腎嚢胞」という腎臓の病気を早期に見つけたケースがありました。自覚症状は一切なかったのですが、放っておけば腎不全になり、手術すらできなくなる可能性もありました。あの時に検査していなければ、助からなかったかもしれません。
犬や猫は人間の約4倍のスピードで歳をとります。1年で4年分の変化があると考えると、年に1回の検査でも間が空きすぎるほど。特に7〜8歳を過ぎたら、年に1〜2回の健康診断をおすすめしています。
検査内容としては、血液検査、腹部・胸部のレントゲン、腹部のエコーなどを行い、日帰りで完結するコースになっています。健康だからこそ「今の状態」を知っておく。それが、将来のリスクを減らす第一歩になります。

経験と設備に裏打ちされた安心の手術体制

経験と設備に裏打ちされた安心の手術体制
手術における体制や強みについて教えてください。

当院では、避妊・去勢手術をはじめ、乳腺腫瘍の切除や骨折、膝蓋骨脱臼の整復など、さまざまな外科手術に対応しています。手術経験は豊富にあり、術式や設備の進化とともに、動物の負担を最小限に抑える取り組みをしています。
たとえば、当院では「シーリングシステム」という電気装置を使って血管を閉じる術式を導入しています。従来のように糸で縛る方法よりも手術時間が短縮でき、体内に異物(糸)を残さずに済むため、術後の炎症や再発のリスクが軽減されます。また麻酔時間が短く済むことで、高齢や持病のある動物にもより安全な手術が可能になりました。
特に近年増えている小型犬の膝の疾患(膝蓋骨脱臼)や、骨折といった整形外科的な手術も多く行っており、適切な設備と、経験に基づいた丁寧な対応を心がけています。術後のフォローもしっかり行い、飼い主さんと相談しながら治療方針を立てていますので、安心してご相談ください。

しつけや日常ケアも一緒にサポート

しつけや日常ケアも一緒にサポート
初めてペットを飼う方に向けて、日常で気をつけるべきことはありますか?また、しつけ教室についても教えてください。

最近はペットを家族に迎える方が増えましたが、特に初めて飼う方にとっては「可愛い」だけでは済まないことも多いです。ワンちゃんの場合、毎日の散歩やしつけ、トイレトレーニングなど、時間と手間がかかります。飼う前にどれだけ時間をかけられるか、生活スタイルに合うかをよく考えることが大切です。
猫ちゃんの場合も、誤飲などの事故やストレスへの配慮が必要です。たとえば紐や猫じゃらしを飲み込んで手術が必要になるケースも珍しくありません。また、ケージも上下運動できるスペースを確保してあげるなど、猫の性質に合った環境づくりが重要です。
当院では、こうした飼育のサポートとして「しつけ教室」も実施しています。主にパピークラス(子犬)を対象に、散歩の仕方やトイレのしつけ、問題行動への対処法など、飼い主さんも一緒に学べる内容です。しつけは一緒に生活していくための大切な準備。専門のトレーナーが丁寧にアドバイスいたしますので、ぜひご活用ください。

診療の壁をなくす、オンラインと訪問で支える想い

診療の壁をなくす、オンラインと訪問で支える想い
オンライン診療や往診について導入された理由、そして取り組みの中で大切にしていることは何ですか?

動物たちにとって「早めの診察」は何より大切です。けれど、すべての飼い主さんが気軽に来院できるわけではありません。高齢で車を運転できない方、お仕事や育児で時間が取れない方、あるいはペットが高齢や病気で移動が難しい場合もあります。
そうした中で、「少しでも診てもらえる選択肢があることで安心できる環境を作りたい」という想いから、オンライン診療を導入しました。これは、スマホやパソコンを通じて飼い主さんとビデオ通話でつながり、直接診察室にお越しいただかなくても、症状や様子を確認できる仕組みです。必要なお薬はご自宅へ郵送することも可能ですし、経過観察やちょっとした体調の変化に対応するには非常に便利です。
実際に「連れて行くほどではないけど不安」「前回の処方で様子を見ていたけど、もう少し相談したい」という方からご活用いただいています。2025年4月には法律が改正され、初診でもオンライン診療が可能になったことで、より多くの方に選んでいただけるようになりました。
また、当院では往診や送迎サービスにも対応しています。「通院ができないから診てもらえない」と感じてほしくない。だからこそ、片道30分圏内であればご自宅にうかがい、その場でできる範囲の診察・処置を行っています。必要に応じて病院に連れてきてお預かりし、診療後にお届けする「送迎」も行っており、こちらもご高齢の飼い主さんを中心にご利用が増えています。
これらの取り組みはすべて、「どんな状況でも、動物たちが必要なときに医療にアクセスできるように」という願いから生まれたものです。飼い主さんの負担も、動物たちの負担も、少しでも軽くするために。そんな想いで、私たちは日々の診療に取り組んでいます。

大切な家族と、ずっと健やかに過ごすために

大切な家族と、ずっと健やかに過ごすために
最後に、飼い主の皆様へメッセージをお願いします。

私たち獣医師は、動物の“今”の状態だけでなく、その子の未来まで見据えて診療するよう心がけています。最近は、ペットを家族同然に大切にされている方が本当に増えて、治療にも真剣に向き合ってくださる飼い主さんが多くなりました。だからこそ、私たちも一層責任を持ってサポートしたいと感じています。
ただ、動物たちは人間よりもはるかに早く歳を重ねていきます。見た目には元気そうに見えても、気づかないうちに病気が進行していることも少なくありません。「まだ若いから大丈夫」と思っていたら、実はすでにシニア期に差しかかっていることもあるんです。
だからこそ、“元気な今”こそが大事なタイミング。定期的な健康診断や予防によって、病気の早期発見・早期治療ができれば、動物たちの寿命を延ばすことにもつながりますし、手術などの大きな負担を避けられる可能性もあります。
どんなに医学が進歩しても、動物たちの「ちょっとした変化」に最初に気づけるのは、やっぱり一緒に暮らしている飼い主さんです。その気づきを、私たちと一緒に形にして、支えていけたらと思っています。
これからも、動物と飼い主さんの気持ちに寄り添った診療を心がけてまいりますので、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。

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